相続登記の義務化から1年

2025/04/08

 令和6年4月1日に不動産登記法によって相続登記の申請が義務化されて、約1年が経過しました。不動産の権利に関する登記の申請(典型的なものが売買によって所有権が移転する場合)は義務ではなく、あくまでも当事者に委ねられるのが原則なので、例外的に規定されたものとなっています。
 令和6年4月1日以降に発生した相続については、おおまかに言うと『相続人が自らのために相続があったことを知って、かつ、被相続人の不動産の所有権を自らが取得したことを知った日から3年以内』に当該不動産の相続登記を申請しなければならないことになります。また令和6年4月1日より前に発生した相続についても3年間の猶予はありますが、令和9年3月31日までに相続登記を申請する必要があります。どこまで適用されるかは分かりませんが、正当な理由がないのに申請をしない場合には10万円以下の過料が課せられるとの規定もあるので、注意が必要となりますね。
 前述のとおり権利に関する登記が申請人の意思に委ねられるのが原則であるにも関わらず相続登記が義務化された一番の理由は、相続登記がされないケースが多くなると社会経済に与える損失が大きくなるということかと思われます。登記簿から現在の所有者が判明しなければ民間の取引や公共事業などが円滑に進まず、また管理義務者を特定できないことにより不動産が管理されず放置され、隣地の住民などに悪影響が発生する恐れもでてきてしまいます。
 他方、義務を課せられる相続人の立場から見ても、相続登記を申請しないで放置して世代が進んでしまうと相続関係が複雑になってしまう場合もあり、次の世代の相続人の方の手続きが煩雑になってしまうことにもなりかねません。現在相続登記がお済みでない不動産がございましたら今回の義務化を機にご一考されるのもよろしいのではないでしょうか。
 登記に関するご相談などがございましたら、当事務所のホームページのお問い合わせフォームより、またお電話でもお気軽にお問い合わせください。

 

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